6月のわたしだけのブッククラブ

夏....夏がきている....夏といえばわたしは昨年の夏が本当にトラウマで、気温が上がってくると、自分の家にいても全く心が休まらない。そう、みんなも嫌いなヤツ。ヤツらの季節がくる。去年プロのアドバイスをきいて、GWに家中にブラックキャップを設置した。設置しても設置しても不安で、不安を感じるごとに1箱ずつ追加して今年は家中トータル6パック分くらい置いてる。(さすがに置きすぎ)

そして冬にやろうと思っていたけど水引やっててできていなかった、床のすきま塞ぎも、ぼちぼちやってて、最近は手慣れてきたので、夜中にビール片手にほろ酔いで好きな音楽とかポッドキャストを流しながら、家中のあらゆる隙間をジョイントコークで埋めて回っている。古い家なので埋めでのある隙間がたくさんあり、日々コーキングの腕をメキメキあげている。この前コンセントの工事をしてもらった工務店さんに褒められた。(隙間という隙間を埋めてるので怖かったのだろうか)最近はマスキングしなくてもいい感じにできるようになった。床が終わったら汚れている水回りのコーキングを真っ白に打ち直したいと思っている。隙間埋めの作業はこれが結構楽しい。床の隙間を埋めたかったらわたしをよんでくれ。

しかしながら、BCを設置しても、隙間を埋めても対策が完璧なんてことは一切ないこともわかってる。だから、気分としては「9月が終わったらわたしを起こして」(Green Dayの名曲"Wake me up when September ends“) 9月が終わったらわたしを起こして...残暑厳しければ10月でも大丈夫です...(そいえばなんかで「史上最も過大評価されてるバンドはグリーンデイて言われてて爆笑した。それでもやっぱ名曲は名曲だよね)

今月は英語の本しか読みたくなくて、Kindleばっかり連れて歩いていた。いい加減Koboかおうとおもっているんだけど、貧乏性なのでまだ壊れてもいないKindleを打ち捨てられないのよね。

 

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Akwaeke Emezi "You made a fool of death with your beauty"

いや〜すごい作家だわ、たとえば(例えは悪いけど&ケヴィン・クワン好きだけど)ケヴィン・クワンはCrazy Rich Asiansみたいな系統の本しか書けない(3部作の次に出したのもファッション業界で働く女の子の話だったし)作家なんだとおもっているんだけど(それが悪いということではなくて、Crazy Rich Asians面白いし)その点、Akwaeke Emeziは毎度全く違う作風の小説を短スパンでリリースしてるんだから驚く。(作家としてのキャリアが5年ですでに7作、YAからロマンス、エッセイまで5つのジャンルにわたる作品を出してる)

今回は作家自身が「はじめての商業的作品だった(ので宣伝もいちばん豪華だった)」と言っているようにロマンス小説で、これまた、男友達に誘われて実家に行ったら実家がクレイジーリッチでした!の話なのね。しかも実家がクレイジーリッチのみならず、男友達の父ちゃんが激イケでどうしよう...っていう話で。カリブの島にある男友達の実家に到着したときの描写は「オッ!クレイジーリッチアジアンズのシンガポールの豪邸とどっちがすごいかしら?!」なんつって下世話心が疼く。「生きるということはRecklessな行動を行うこと、向こうみずになること」というテーマの下には愛する人の死を経験した者同士の結びつきも描かれていた。しかし激動ロマンスからは縁遠い人生を送っているわたしからすれば、いくらなんでもNasir(男友達)かわいそすぎるよね〜と思ったんだけど。しかも当たり前のように怒り狂ったら怒る方が悪いみたいになってて超気の毒。でも違うんだよね、生きることは愛すること、家族をぶっ壊してでもテイクチャンス!なんだねえ...この本では。けど自分の父親みたいな年齢の人とのロマンスっていくらセクシーに熱く描かれたところで「お、おう」の気持ちしかなくない?!まあそこをファンタサイズするような話ではなかったけど。あととにかく事前に何度も「いいの?」「いいの?」つって同意を得るので安心はする。読者としては途中で「おじいちゃん!!おじいちゃん!!(大声)聞こえてないの??だから!彼女さんいいって何度も言ってるよ!!」とはなりました。

Emeziの作品はいままでエッセイしかよんだことがなくて、しかもそのエッセイもだいぶセンチメンタルかつ傲慢なかんじだったので、まさかこんな商業的ロマンス作品(2022のBeach Reads間違いなし!ビーチ&太もも&本の写真がたくさんインスタにあがりそう!)を書くとは思ってなくてびっくりでした。びっくりついでに未読だった他の作品も2冊買った。

ちなみにこの作品はマイケル・B・ジョーダンの制作会社とAmazonスタジオが映像化権を取得しているそうで...どんな映像になるのか楽しみ。カリブ版クレイジーリッチといった趣の豪邸描写、楽しみにしてます。こちらの豪邸は家にインフィニティプールがあって白い孔雀が庭を歩いてる。こういうびっくりするほどデカくて、豊かすぎる自然に囲まれてる家って迫り来る自然問題どうしてんの??雑草とか??虫もすごいでしょ??虫に関する記述いっこもないけど??と思ったが専任庭師がいたので伸び盛る草木に関しては有り余る金で解決してた。家の中に入ってくる虫に関しては家がデカすぎて虫と遭遇しない利点がありそう。それともお金かけたら密閉度がすごいから虫も入れない家を建てられるのか。それとも富豪も夜な夜な家中にブラックキャップ撒き散らしては床の隙間をジョイントコークしているのか。

日の出見に行ったお山の上でセックスされておったが、いくらブランケット引いてても地べたに寝転がるとアリにたかられて大変なんじゃないかと心配になった。あのときのことが特別すぎて忘れられないとは書いてあった一方、その後数日間髪からアリが出てきてうんざりする描写はなかったが、「特別=アリがすごい」「忘れられない=いまだに忘れた頃に髪からアリ出てくる」ってことじゃないよね?当方、新橋桜田公園で泥酔して寝ちゃったとき、ほんの数時間でもむちゃくちゃアリにたかられてしんどかったので。それとも泥酔して寝てる人にはアリも遠慮なくたかるけど、セックスしてる人にはさすがのアリも遠慮してたからないのかな??(結局虫の話!!!!!!!!)

 

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"I Hate The Internet" Jarett Kobek

読み終わって同じ作者の別の本も読もうとググったら速攻でこれの邦訳出てるのを見つけてしまった。痛恨。(「くたばれインターネット」くたばれインターネットの通販/ジャレット・コベック/浅倉 卓弥 - 紙の本:honto本の通販ストア」)

いやーーしかしむちゃくちゃ!!面白かった!!2016年に出てるのこれ??もっと早く読みたかった!!!みんな今すぐ本屋行って読んだ方がいいよまじで。

「悪い小説」を自称し、炎上小説と見せかけた現代アメリカ史、現代アメリカ社会、ポップカルチャー、ネットカルチャー、シリコンバレーIT業界を皮肉にディスり散らかしてて読みながらニヤニヤが止まらなかった。プロットの炎上のくだりを書く時はだいぶ冗長なのに、ディスりパートになるといきなり饒舌になってくるのなんなの。読みながら笑った。いやむしろディスりパートがプロット上は蛇足なのか...でも作者のシニカルな顔が思い浮かぶのは絶対後者パートよんでいる時だしな...無茶苦茶おもしろいので今すぐこのページを閉じて本屋に駆け込んでください。インターネット世代の俺たちのための書かよ!!となると思います。

バキバキに冴えているディスりをいくつかご紹介しましょうか。絶対読みたくなるから...

The Internet was a wonderful invention. It was a computer network which people used to remind other people that they were awful pieces of shit. (p.2)

 インターネットは素晴らしい発明であった。それは、コンピューターネットワークで、人々は自分がとんでもないクソ野郎であることを他人に思い出させるために使っていた。

The vast majority of tweets were written by narcissists interested in letting other people know the wide range of their opinions on every possible subject.(p.61)

大多数のツイートは、ありとあらゆることに対する彼らの幅広い意見を他人に知らせることに興味を持っているナルシストによって書かれたものである。

THE FORMALIZED SYSTEMS in which grown men threw around balls were called sports.(p.62)

形式体系に基づき大人がボールを投げ散らかすことがスポーツと呼ばれた。

Wars were giant parties for the ruling elites, who sometimes thought it might be great fun to make the poor kill each other.(p.36)

戦争とは、貧民を戦わせてみたらむっちゃおもしろいかもと思った支配階級のエリートたちのための盛大なパーティーであった。

 

 

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Mona Awad "Bunny"

わたしは女同士のトキシックな結びつきっていうのも確かに存在していると思っている。集団でいるクラスメイトが、会社の先輩が、こっちを見ながらヒソヒソコソコソ話していて、こっちに暗に「わたしの悪口...?」って思わせるような態度や、仲間内でしか分からない隠語を使って他者を疎外するとことか、そうそうこれこれ「女同士の絆」みたいな感じ...と思う。こういうことをするのは女同士だけでもないけどね。人間、群れたら他者を除外しようとするじゃん。女だから、男だから、とかじゃなくて人が寄り集まって他者を排除しようとするときにその場に発生する有害な何か、ってのは絶対にある。この小説「バニー」はその女同士の閉鎖的かつトキシックな関係性を的確に捉えている。

お互いを「バニー」と呼び合う女の子グループ(実家が太えキラキラ女子)のことを馬鹿にしていたサマンサ(貧乏、クソ狭アパートに住んでて隣人は巨漢の変態)だけど、ある日バニーから「ねえ遊びに来ない?」と誘われてバニーたちのワークショップに行ってみると(酒とドラッグで判断力おかしくされて)気がついたらわたしもバニーになっていた!バニーたちは「自分の理想の男の子」を作り出すワークショップをおこなっているんだけど、失敗すると男の子は爆発するし、叫び出すし、完璧な人間じゃないし、なんていうか、ペニスが機能しないし。んで夜な夜なみんなで理想の男の子作り出してはうまくいかないと斧で殺したり、町外れに捨ててきたりしてて....という話。バニーに取り込まれていくサマンサのバニーとの距離感を「悪口みたいなあだなで呼んでる」→「本当の名前で呼ぶようになる」→「バニー!」で表現するのよ。バニーたちの洗脳が解けると「バニー!」→「名前で呼ぶ」→「悪口みたいなあだ名を思い出す」で正気に戻る描写になる。バニー!のフェーズになるとあなたとわたしの区別がなくなってあなたもバニーわたしもバニーってなる。怖すぎるがそういう(トキシックな)人間関係も現実に確かにある。女同士の人間関係と内面化するミソジニーみたいなものを的確に捉えていて恐ろしいくらいだ。たとえばわたしが冒頭でバニーたちのことを「キラキラ女子」と書いたけど、このワードチョイスだって明らかにわたしのなかのある種の女性に対する嫌悪を表しているわけで...こういうちょっとした人の心に巣食う意地の悪い嫌悪感が、バニーたちを見つめるサマンサのコメントのひとつひとつに出ている。面白かったのがバニーたちのファッションで、プレッピーからMod Cloth系、コンバットブーツを履いたパンク系と、意外にも洋服はみんなテイストが違うことで、もしかしてサマンサから見たら全員キラキラ系バニーだけど、他の視点からみれば違うタイプの人たちなのかも...と思わせる。

ふと思ったんだけど、もしかしてこの「バニー」は主人公(サマンサ)が女性との関係を求めるクィアな欲望についての話ともよめないだろうか。女性との関係を希求するアンオープンリーゲイなサマンサは、その関係性の中に入れないがゆえにある種の女性嫌悪を内面化していて、しかしバニーたちに見染められたことで待望の女性との濃厚な(カルト的)結びつきの一部になる。しかし、バニーたちのカルト的結びつきはあくまでも異性愛的嗜好(セックスができるイマジナリーボーイの具体化を目指す)に基づくものだったわけ。初めて自分がイマジナリーボーイ爆誕儀式を主催したサマンサは、自分の欲望を思い描いて!と言われて、完璧なイマジナリーボーイ(マックス)を生み出すんだけど、しかしながらマックスは実はサマンサ自身なのである。サマンサはマックスの言動を予測できる上に二人の言動はシンクロする。サマンサの欲望に基づいてエヴァと付き合い、バニーの繋がりを断つ。つまりマックスは、サマンサのエヴァに対するクィアな欲望が具現化したイマジナリーボーイ。そしてバニーたちへの加虐願望を遂行するイマジナリーボーイ。サマンサとエヴァの関係性については、ふたりでお互いにリードを代わりながら理想の男性ディエゴ(イマジナリー)とのダンスを夢想したりしているし、エヴァはサマンサがバニーカルトから目が覚めるきっかけになったりもしているし...実はこの物語は女性同士のクィアな結びつきへの欲望、異性愛に基づくカワイイ女同士の結びつきへの加虐願望、サマンサの親友エヴァへのクィアな欲望についての話だったんじゃない??そう考えるとむちゃくちゃおもしろい小説なのでは!!!!

 

番外編: 生まれて初めてスタンダップコメディショーにいった話

いってきました!アンクルロジャーことナイジェル・ンのハイヤ⤵︎ワールドツアー!@渋谷プレジャープレジャー

渋谷に行くことじたい5億年ぶりくらいで、人間がぎゅう詰めになっているところにいくのも8億年ぶりくらいだったのでむちゃくちゃ怖かった。(マスクしないでフゥ〜〜って叫んでる人とかたくさんいたのでこれはcovidやばいと思った。今日で曝露してから1週間なのでセーフだったのでしょう。)あと渋谷の構造がだいぶわたしの知っている頃と変わっておりむちゃくちゃ迷ってマークシティから出られなくなって危うくマークシティの亡霊となるところだった。久々のおそとは色々大変なことも多い。

そして、人生初スタンダップむっちゃくちゃおもしろかった!!意外とわかる!英語!!意外と笑える!!ジョーク!!楽しい!!となってこういう感情久々だわ....ってしみじみしたりして忙しかった。感情が。

マレーシア出身でイギリス在住(姉はハーモニカ奏者)のコメディアン Nigel NgはBBCのクッキング動画「チャーハンを作る」を「ハイヤ⤵︎ハイヤ⤵︎」とディスるオレンジ色のポロシャツのアジア系おじさんを演じたYouTubeビデオで一躍ブレイクした。ご存じアンクル・ロジャーのいわゆる中の人です。アンクル・ロジャーはいわゆるアジア系のおじさんのカリカチュアで、間違ったアジアンフードをぶった斬る動画で俄然バズり中。ジェームズ・オリバーは全然ダメだけどゴードン・ラムジーができる男!ちゃんとチャーハン作ってる!って褒めてたらご自宅に招待されて鍋5つもらったそうです。

Nigel Ngのセットは、アジアン・ディアスポラを感じるスタンダップショウだった。「アジア的なるもの」によって会場にいたマレーシア、台湾、中国、日本人(他の国の人もきてたが)に広がる笑いで、「米/アジアンフード/アジアの母親/しつけ/炊飯器/MSG」でつながる「わかる〜!」の笑い。いやあおもしろかったです。

とか思いながらジョエル・キム・ブースターのNetflixスペシャル見たら「僕はアジアンであることとゲイであることのジョークをやってるけどそれに関して白人男性が「全然共感できなくて笑えない」つってたんだよね」と言っていて、共感はたしかに笑いの重要な要素だけど、でも実はそれだけではない「共感」がすべてじゃないんだわ...と思い至ったりしてスタンダップの世界も深い!!!!(でもわたしもたしかに白人男性コミックのマスキュリニティゴリゴリのジョークとかは全然楽しいと思えないところもあるんだよねえ...)

なかなかスタンダップショウを日本で見る機会ってないんだけどまたぜひ行きたい。早く誰か来日してくれ!!!アツコ・オカツカとかニコール・バイヤー、ロビン・トランは絶対見たい。