#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

シャーロット・ホームズの冒険』をおすすめしたいという話。

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Bustleの記事(*1)などで「フェミニストシャーロック・ホームズ」という評があったBrittany Cavallaroの"A Study In Charlotte"の邦訳が先月末より竹書房文庫から発売された。YA小説だけれど、とても面白い作品なので、邦訳を紹介できるのを楽しみにしていた。

わたしはこの本が、届くべきところに届いてほしいと思う。よりたくさんの人に読んでもらいたいと思う。今回、著者 ブリタニー・カヴァッラーロのインタビューを邦訳する許可をもらった。

これをきっかけに「シャーロット・ホームズの冒険」を手にとってもらえれば嬉しい限りである。なにせシャーロット・ホームズシリーズは3部作、この邦訳が売れなきゃ続編の邦訳は出ないのだから。

本書のブックトレイラー(*2)はMADMENに出演しているキット・ウィリアムソンが監督しているので、こちらもぜひ見てほしい。邦訳版の表紙とはまた違ったシャーロットとワトソンを見ることができる。

*Special Thanks to Kayla*

そして今回、インタビューを翻訳したいという不躾なお願いを、快諾してくださったKayla Deanさん、ありがとうございました。

Kaylaのウェブサイトは、ミレニアル世代のクリエイティブなことしたい!という気持ちを応援する素敵なサイトなのでぜひチェックしてみてください。

“Kayla Dean - A Busy Girl’s Guide to Creativity & Writing”

www.kayladean.com

Thank you very much for your kind permission for translation, Kayla! Here, I introduce your beautiful website to the readers.

オリジナルのインタビューへのリンクはこちらです。(The original interview by Kayla Dean is in the link below.)

MILLENIAL WRITER SERIES
INTERVIEW: BRITTANY CAVALLARO ON TRANSITIONING FROM POETRY TO YA, SHERLOCK, & GETTING PUBLISHED BY KAYLA DEAN
http://www.kayladean.com/2016/06/millennial-writer-brittany-cavallaro/

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ミレニアル・ライター・シリーズ
インタビュー: ブリタニー・カヴァッラーロ
詩作からYAへの転身、シャーロック、そして出版について
BY カイラ・ディーン

ブリタニー・カヴァッラーロのYA小説「シャーロット・ホームズの冒険」は、わたしたちが知っている、そして愛しているシャーロック・ホームズシリーズの単なるリメイクではない。「シャーロット・ホームズの冒険」は愛されているキャラクター、シャーロック・ホームズとワトソンの子孫たちを主役にしたフェミニスト版改作といったところだろう。シリーズ化が予定されており、「シャーロット・ホームズの冒険」はその第1作である。

ブリタニー・カヴァッラーロは才能ある詩人であり、短編小説家である。詩集"Girl King"、レベッカ・ヘーゼルトンとの共著小冊子"No Girls No Telephones"そして、asAGNI, Gettysburg Review, Tin House, the Best New Poetsアンソロジーなどに寄稿している。

ブリタニーはウィスコンシン-マディソン大学においてクリエイティブライティングのMFAを取得しており、現在ウィスコンシン-ミルウォーキー大学の博士課程取得候補者となっている。ブリタニーはシャーロキアン研究者であり、作家として長年訓練を積んでいる。今回、将来本を出版したいと願う若き作家たちへ、アドバイスをもらった。

(カイラ)YA小説「シャーロット・ホームズの冒険」について教えてください。詩集を2冊出版されていますが、詩からYA小説三部作への移行することに対して、どのような気持ちだったのでしょうか?

(ブリタニー)「シャーロット・ホームズの冒険」は、アメリカの寄宿舎を舞台にしたフェミニスト版 帰ってきたシャーロック・ホームズです。偉大なる探偵と善良な医者の子孫、シャーロット・ホームズとジェイミー・ワトソンが、古典的なホームズのストーリーによく似せて起こった殺人事件のぬれぎぬを着せられてしまったことから、力をを合わせて事件を解決するという話です。

詩作からYAフィクションへの移行については、 実はそんなに大きな変化というわけではありませんでした。いつもいくつかのジャンルの作品を書いていましたし、大学院ではどれかひとつの専門を持つように言われましたが(そしてわたしは詩を選んだのですが)、それでも、わたしはたくさんのフィクションを学び、書いていました。わたしの書くものは、「大人向け」のフィクションを書いているときですら、いつも10代の若者についての物語になっていました。なので、ヤングアダルト小説を書くのは、次のステップだ、と感じていました。

(カイラ)「シャーロット・ホームズの冒険」は、シャーロック・ホームズシリーズに着想を得ていますよね。ミレニアル世代は、BBCのテレビドラマ版シャーロックにも熱狂しています。過去に手をのばし、誰もが愛している古典作品から新しい物語を創造することが、ミレニアル世代にとっての繰り返されるテーマであると思いますか?

(ブリタニー)もちろん、そういうことが、ある世代に特定のことであると言うことも可能だと思います。しかし、シェイクスピアの劇作もまた、古典的な物語や神話に、彼自身の解釈を加えて改作したものであるということを考えることも重要だと思うのです。究極的に言ってしまうと、あらゆるところにいろんなオリジナルのアイディアがあって、見つけてもらう時を待っている、なんてことを自分が信じているかどうかわからないんです。(もちろん自分が読んでいるものに驚かされたい、驚かされるのは幸せなことだ、という気持ちはいつでもありますけれどね!)

わたしが本に求めることは、心を奪うようなオリジナルな考え、物語におけるオリジナルな解釈、そして本物だと思えるようなキャラクターなんです。こういう要素は、すべての最高の改作すべてに見出すことができます。

(カイラ)シャーロックとワトソンの子孫として、シャーロットとジェイミーを想像することについて、何がきっかけとなったのでしょう?また、その2人のキャラクターはイギリス出身ですが、舞台をコネティカットに変えたのはどうしてでしょう?

(ブリタニー)「シャーロット・ホームズの冒険」を書き始めたとき、わたしが最も重要視していたことは、シャーロック・ホームズフェミニスト的な解釈を入れることでした。ホームズシリーズの素晴らしい改作はたくさんありますが、偉大なる探偵を10代の女の子として再創造してみようという意欲の感じられるものはないように思えたのです。

舞台をコネティカットに変えたことに関しては、ドイルのはじめてのホームズ作品である「緋色の研究」の冒頭部分でワトソン博士が感じていたような、自分が場違いであるという気持ちを、「シャーロット・ホームズの冒険」の冒頭部分でも登場人物の状況に描写したいと思ったからなんです。「緋色の研究」では、ワトソン医師は、戦争から戻ったばかりで、孤独で貧しく、同居人を探していますが、最終的に彼こそがホームズの親友になります。ジェイミーにも、馴染みのあった場所に戻ってくるのだけれども、その馴染みの場所が彼がいない間に、変わってしまったという、ワトソン医師と同じ感覚を持って欲しかったんです。ジェイミーはコネティカット育ちで、彼の疎遠になってしまった父親はいまでもそこに住んでいる。でもジェイミーは長い間イギリスにいました。ジェイミーのアメリカへの帰還は、孤独で悲惨なものですが、だからこそ彼は状況をより良くしていく方法を考えはじめるのです。

(カイラ)ミレニアル世代の作家の個性は、どのようにして新しい力強い声になると思いますか?ミレニアル世代の中でも、年下、そして年上などの年齢によって特徴的な違いがあると思いますか?ミレニアル世代にとって、特徴的な悩みとはなんでしょう?

(ブリタニー)どの世代にも、その世代世代で語るべきことがあるように感じます。特にわたしたちの世代の作家たちは、いままでにないほど多様性に富んでいて、とても励みになります。様々な、いままで語られてこなかった物語に、生命が与えられるのですから。

ミレニアル世代の中での差については、わたしはとくにミレニアル世代の中間の年齢ですし、それに、自分の状況が典型的ではないということに、何度も気づかされてきました。わたしは恵まれています。わたしは奨学金の負債に押しつぶされてもいません。わたしは、とても気に入っているアパートの家賃を支払うことができる街に住んでいます。大好きな仕事をして、それによってお金を稼いでいます。もし、ミレニアル世代の中でも年齢によってなにか違いがあるとすれば、若い世代ですね、いままさに成長している世代、学部生や高校の生徒たちです。かれらは、自分たちの学ぶことや追い求めることに、できるだけリスクを負いたくないと思うようになるでしょう。わたしたちの属するクリエイティブ・クラスにとっては、この国の経済状況はあまりにも不安定ですから。

(カイラ)どのような経験が、あなたのフィクション作品を形作っていると思いますか?

(ブリタニー)フィクションを書くことを学ぶ、という意味では、十代の時に寄宿学校に通っていたことが大きいでしょう。わたしなインターロッケンアートアカデミーに、クリエイティブライティング専攻として在籍していました。そこでは、どうやって書くかということだけでなく、どう世界を見るかということも学びました。

『シャーロット・ホームズの冒険』を書くという意味では、自分が十代の時に経験した、複雑で、ワイルドで、夢中になるような友情に対する、いろいろな方法でのオマージュにありますね。16歳の時に出会い、そして、そのときからずっと一緒にいるわたしの親友に、この本は捧げられているんです。

(カイラ)創作過程について教えてください。また、より力強い物語を書くために、どう自分の創造性を補強していますか?また、創作に対する特別な美学はありますか?

(ブリタニー)あぁ、これに対してはもっと興味深い答えができたらいいんだけど。とにかく、答えますね。創作をしているとき、わたしはとにかく自分自身に耳を傾けています。文章の音やリズムを理解することが、わたしにとっては文章の意味と同じように大切なんです。特に、ジェイミーのアクセントのような、風変わりで、ヨーロッパ風のアクセントを創作しているときなんかは。

ひとつの小説を作っているときは、同じキャンドルを灯して、同じ種類の音楽を聴いたりしていますね。でも、それと同時に、そういうことに頼り切ってはいけないとも思っています。わたしはいろんな場所を飛び回っているので、どこにいても創作できるようにならなくてはいけないんです。

(カイラ)小説を書くほかに、どんな創作手段がありますか?

(ブリタニー)音楽が好きです。歌を歌ったり、ピアノを弾いたり。とはいっても、きちんとした形でではないですけれどね。『バフィー 恋する十字架』を見ながら、大きなスカーフを編んだこともありました。そして、たくさん、とてもたくさん本を読みます。本を読むことは、とても大切な芸術への参加の形だと思います。

(カイラ)作品が出版されるまでの経緯を教えてください。

(ブリタニー)結構すんなりといきました。いまのエージェント、素晴らしいLana Popivic、と出会うまで、エージェントに問い合わせをしました。そして彼女の指導のもとで、『シャーロット・ホームズの冒険』を1年ほどかけて見直しをしました。そして、2014年の9月に、原稿を送り、幸運なことにKatherine Tegan Booksが興味を持ってくれたんです。夢のようでした。

(カイラ)創作に対して、ひらめきを与えてくれる、現代や古典の作家は誰でしょう?

(ブリタニー)たくさんあります。もちろんドイルですね。シャーロット・ブロンテ、ドロシー・L・セイヤーズ(そしてピーター・ウィムジーの全作品)、ポーのデュパン作品、ダフネ・デュ・モーリア。そして、ジョン・ベリーマンの「ドリームソングス」も大好きです。マーセデス・ラッキーのヴァルデマール年代記シリーズを?幼少の頃に読んでいて、最近この壮大なシリーズを読み直しているところで、本当に素晴らしいです。ファンタジーで言うと、ジュリエット・マリリアーと、ジャクリーン・ケアリーも好きですね。現代文学では、ジェニー・オフィール、ヘレン・オイェイェミ、マーガレット・アトウッド、ジェフ・ヴァンダーミール、サラ・ウォーターズ。そしてヤングアダルトでは、レイ・バードゥゴ、ノヴァ・レン・スマ、パーカー・ピーヴィーハウス、エミリー・ヘンリー、ジェフ・ゼントナーです。

(カイラ)ほかのミレニアル世代の作家や、自分の作品の出版を目指すクリエイターたちに、アドバイスをお願いします。

(ブリタニー)とにかくできるだけたくさん、できるだけ長く書くこと、それこそが役に立つ創造性になるでしょう。余計なものを捨てることを怖がらないで。不可能だと思えるプロジェクトに取り組むことを怖がらないで。あなたの個性の中から、あなただけの物語を育ててください。伝統的な形での出版を望むのであれば、辛抱が肝心です。そして、何より大切な第一歩は、あなたの作品を愛し、支持してくれるエージェントを見つけることです。

(カイラ)ブリタニー、ありがとうございました。

※邦訳『シャーロット・ホームズの冒険』は竹書房より、発売中です!

(*1) Bustle

A Study In Charlotte Is The Feminist Sherlock Holmes Story You Didn’t Know You Needed
http://www.bustle.com/articles/144490-a-study-in-charlotte-is-the-feminist-sherlock-holmes-story-you-didnt-know-you-needed

(*2) A Study In Charlotte Book Trailer by Epic Reads

https://youtu.be/SjIJFW8Uetw