#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

ギルモアガールズに夢中になっている話

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※ギルモアガールズ シーズン1のネタバレがあります

さいきん、「ギルモアガールズ」という海外ドラマにハマっている。主人公のローリーは本好きで、どこへ行くにも本を持ち歩いている。彼氏とダンスパーティーに行ったときも、ローリーの持っていたバッグを受け取った彼氏が「重っ!何入れてるの!」と言うと「本が入ってるの。どこにでも本を持っていくから。」と答えるローリーに、他人とは思えない親近感を抱いた。本や音楽や音楽が次々に参照される本や映画に、並々ならぬ好意を寄せてしまうのは、文化系の性なのだろうか。

ちなみにローリーの友人レーンは、家がめちゃくちゃ厳しい韓国系クリスチャンなのだけど、音楽が大好きで、親に見つからないように床下(ほんとうに床板を剥がす)にたくさんのCDを隠し持っていて最高だ。そして「ザ・スミス的憂鬱」「ルーリード的憂鬱」と、様々なミュージシャン名をポンポンと引用してその憂鬱の種類を表現するレーンとローリーは最高だ。わたしもこんな会話をしてみたいなんて思ってしまう。

ローリーの真面目さは、ときに優等生的でもあるのだけれど、でも上手く優等生というステレオタイプからは遠ざけていてとてもよい。わたしは、怒れる高校生でも、リッチなパーティー三昧の高校生でも、スクールカーストに苛まれるばかりの高校生でもなかった。ローリーと同じように、たくさん本を読んで、まじめに勉強をして、本を読んで、映画を読んで、音楽をきいて、友達と遊んで、恋をして、というような、普通の高校生だった。そんな「普通さ」と「まじめさ」を決して否定しないローリーというキャラクター造形が、わたしにはとても心地よく思える。

しかし、それだけではともすれば退屈になってしまいうるローリーのキャラクター造形に対して、少々型破りなローリーの母、ローレライも素晴らしい。なにが最高って「男は自分の名前を息子につけるんだから、女だって自分の名前を娘につけるわ」といって娘にローレライという名前をつけているほどである。

ギルモアガールズの物語のスパイスになっているのは間違いなくローレライだと思う。(もちろんスターズホローの街やチルトンの愛おしき風変わりな人々も最高男だけど!)

わたしはローレライは「家父長制の犠牲者」だと思っている。犠牲者というと悲劇的だけれど、そこがローレライの魅力であり強さになっているのだと思う。

高校生(16歳)のときに妊娠し、ローリーを出産したローレライは家を飛び出している。ローリーの父親の両親に会えば「息子のキャリアをぶっ潰した女」としてローリーの眼の前で非難され、それに対して怒り、反論した父親には「お前のことは許していない。ただ、ギルモアの名前が汚されるのは許せないから怒ったのだ」と言われてしまう。家父長制の名の下に、ティーンでひとり子供を産んだローレライは救われないのである。ここのところで、わたしは死ぬほど泣いたし、ローレライのことをなにがあっても応援すると決めた。ものすごい肩入れのしようである。

それに「バッド・フェミニスト」としては、ローレライとローリーとディーン(ローリーのボーイフレンド)で映画ナイトをする回も外せない。(S1 E14) ローレライとローリーは「ドナ・リード・ショウ」を見て、50年代の主婦像(着飾って、献身的に家事を行う)に対して擁護派のディーンと否定派のローリーは喧嘩をしてしまう。

「女の人が料理をするのはいいことだと思う。うちの母だって毎晩夕飯を作ってくれる。なんでそれが悪いことなんだ?」というディーンに、ローリーはこう言う。「女性の人生が、誰かひとりに仕えることで終わってしまうなんて絶対によくない。ディーンのお母さんは、家事をするという選択をしたかもしれないけれど、ドナ・リードには他の選択肢はなかった。それが問題なの。」

でもこのあと、ローリーは仲直りのために、ドナ・リード風の服を着て、フルコースのディナーを作ってみる。ローリーは少しだけ彼の言い分も聞いて、料理をすることを選んでみるのだ。そしてそのリサーチ中にドナ・リードがただの抑圧された女性ではなく、じつは自分のショウのプロデューサーも務める、当時としては画期的な女性ののTV局の重役だったことを知ったローリーはとても喜ぶ。

なんていうか、とてもバッド・フェミニスト的!と感激してしまった。このキュンとした気持ちが的確に伝わっていないとすれば、それはひとえにわたしの説明が悪いので、いますぐNetflixに加入の上、ギルモアガールズを見てほしい。いますぐに!

ローリーはごく普通の、いい子かもしれない、だけど、それがわたしにとって、格別に愛おしい海外ドラマになった。なんでもっと早く見なかったんだろう!後悔の嵐である。