#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

Barbara the Slut and other stories - Lauren Holmes

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すごく面白い短編小説集を読んでしまいました…!! あんなに嫌で嫌で仕方が無い会社も、行き帰りにこの本を読めるとおもうと苦痛じゃなくなるほど、夢中で読みました。

こちら"Barbara the Slut and Other People"は2014年にGrantaの"New Volce"にも選出されている、NY在住のLauren Holmesによる初の短編小説集です。

裏表紙にはPhilipp Meyer(同じくGrantaなどに作品が掲載されているアメリカの作家)による「素晴らしい作品だ- 辛辣だがとても面白い。こんな大物作家のデビューは、ジュノ・ディアスの「ハイウェイとごみ溜め」以来だ。」というコメントが書かれています。わたしも読み進める手が止まらなかった!!こんな面白い短編集久々に読みました!!

人生や日々の生活の中で、周りの人々とだけでなく、いまいる場所や時間、自分自身とどこか噛み合わないような感覚や、それが転じてなんだか面白い感覚になったり、日常にぽっかり空いた穴に気がついたら落ちていたりする、そんなことがありますが、まさにLauren Holmesの短編小説にはそういう感覚を感じます。またセックスやジェンダーにまつわる居心地の悪さや、滑稽さもあって、そういう意味ではミランダ・ジュライの短編にも通じるものがあると思います。

短編集の感想を書くのはまだわたしにはすごく難しいので、みなさまの興味をひくべく、各話のあらすじをご紹介したいと思います。

・How am I supposed to talk to you?
長い間会っていなかった母親に会うためにメキシコへ行く娘の話。ビーチで現地の女の子に売るためのVictoria’s Scecretのパンツをたくさんスーツケースに詰めて、自分がゲイであることを母に伝えるために。

・Weekend with Beth, Kelly, Muscle, and Pammy
男女の友情は、セックスしてしまったら成立しない、という信念のもと、唯一セックスしたことを(泥酔していて)覚えていないBethと過ごす話。主人公はエモいヤリチンである。

・Mike Anonymous
HIVの検査センターにやって来た、ほとんど英語の通じない日本人男性"Mike Anonymous"。検査は陰性だったものの、彼は自分自身が陽性であることをしつこく主張する話。

・I will crawl into the Raleigh if I have to
腐れ縁のようにズルズル付き合っている彼氏にマフラーの取れたボロボロの車で別れを告げに行く話。

・Desert Hearts
ロースクールを卒業後、弁護士の夫と結婚するも法律関係の仕事につく気にならず、フラッと立ち寄ったセックス・トイ・ショップで働くことになる女の子の話。レズビアン向けのトイ・ショップなのでレズビアンのフリをすることになる話。

・Pearl and the Swiss Guy I fell in love
オンラインで知り合ったスイス人男性とデートをするのだけど、そのうちにそのスイス人男性が家に居つくようになって困る話。主人公の飼っているピット・ブルは男性嫌悪が強く、デート相手を(犬が慣れるまでは)家に入れることができない。

・New Girls
アメリカからドイツに越して来た女の子の、友達の記録。ロスト・イン・トランスレーションと、クラスで人気者になれない悲哀についての話。

・My Humans
とあるカップルに飼われることになったゴールデン・レトリバーの視点から語られるそのカップルの話。

・Jerks
彼氏と別れてしばらく、父親のお金で生活をしている間に、高校時代に好きだった男の子とセフレになったり、聴力に障害のある子供のベビーシッターをする女の子の話。

・Barbara the Slut
とても優秀で15歳で飛び級してプリンストン大学にいく女の子、バーバラが、"Slut"を呼ばれてイジメられる話。エマ・ストーン主演の映画"Easy A"にすこし似ているけれど、もっと切ない。

どの作品もディテールが面白いのですが、実際に読むときの楽しみを奪いたくない!と思ってディテールを省いたら無味乾燥なあらすじになってしまいましたが、どれもわたしたちと同じように少し変わっていて、少し道を外れているような人々が主人公で、それだけでわたしはこの短編小説たちが愛おしくて仕方がなかったです。