#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

Actors Anonymous - James Franco

f:id:watashidake:20160927170951j:image

ジェームズ・フランコといえばセス・ローゲンとイチャついているかと思えば、大学で教鞭をとっていたり、小説を出したりして(先日、日本でも公開された映画「パロ・アルト」の原作は彼の同名短編小説集)マルチな才能でわたしの心を掴んで離さない俳優のひとりですが、この小説は2013年に発表されたジェームズ・フランコ初の長編小説。(長編小説という触れ込みですがほぼ短編集のようなかんじ)

まずこの小説のタイトル"Actors Anonymous"は、"Alcoholic Anonymous" (匿名のアルコール中毒者という意味があり、AAと呼ばれるアルコール中毒者たちの断酒のための互助会)をもじっていて、小説の構成ももこのAAの断酒のための「12のステップ(12 Steps)」と「12の伝統 (12 Traditions)」にならって書かれている。フィクションというより、半エッセイ、半自伝的なかんじなのかなあというイメージでわたしは読み進めていたのだけど。

著者が有名なスター俳優で、その人自身がハリウッドについて書いた小説となると、語り手のことをどれほど信頼できるとするかを考えてしまうし、またどれほどこの「フィクション」がその俳優自身の体験に近づいているのかを邪推してしまいます。(「ジェームズ・フランコと寝た女の子」が書いたという設定の小説なんかも収録されている。これがめちゃくちゃ甘酸っぱくて刹那的にキラリとする。)

AAの12のステップと12の伝統に準じたという構成や、短編、詩、ときにはマニフェストのようなものが書かれるこの本は、マルチに活動している作者本人にもそっくりだと思った。(批評家には「浅く広く」の芸風だが、本作も「浅く広く」で深みがない、と批判されていましたが!)

特に演技をすることについて、俳優の物語としながらも意図的に何度も演技と人生(役者としてだけではなく、役者でない者たちの人生をも)演じるという行為に重ねていくジェームズの手法、わたしは嫌いになれない。というかむしろハッとしてしまった。好きです。

好きです。ジェームズ、付き合ってください。あーッ、付き合わなくてもいいからセス・ローゲンと3人でルームシェアさせてください。金曜の夜にはジェームズの選んだベッドタイムストーリーを枕元で読み聞かせてほしい。お願いします。

読み進めるにつれて遠くハリウッドの俳優たちの話だったはずの物語たちが、演技をすることを通してわたしたちみんなが持つそれぞれの人生の虚栄、欲望などを含んでわたしたち自身に近づいてくるとき、わたしたちの人生という映画の中で監督、主演をこなす、わたしたちもまた"Actors Anonymous"(匿名の役者たち)であると思ってしまった。はたしてわたしはうまく自分の人生を監督して、演じられているのだろうか。