#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

#18 Unfortunate Importance of Beauty - Amanda Philippacchi

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ほんとうに美というものは厄介である。それを持たざる者は美を羨み、追い求めるし、持つものはそれを疎ましく思う。それだけでも厄介であるのに、さらにその美という概念はとても流動的であるし、さらに人の美なんていう話になった日には内面か外面か、主観か客観かなんていうもはや可視化されない美なんて話にまでなって、わたしの頭は爆発する。

とはいえわたしも美というものには(持たざる者として)並々ならぬオブセッションがある。そしてその答えを書物に求めたりするものだから、わたしの本棚には「美」についての本が不本意にもたくさん並んでいるのである。(そしてその本のどこにもわたしが欲しい答えは見つからない)

わたしのなまぐさなところは、美についてのオブセッションに基づいて、自らの外見などを美しくするためにすてきな洋服を買い求めたりエステに通ったりするわけではなく、その世間のいう美しさとは何か、そしてそこのある瑕疵はなにか、ということばかり考えて本を読んでいるところで、その書籍代金でエステなどに通ったり素晴らしい化粧品を買い求めたりするなどしていた場合、いまごろは美についてなど考える頻度がすこしは確実に減っていた可能性すらある。

そんなわたしが"Unfortunate Importance of Beauty"(「美の不幸なまでの重要性」)と題された本を見つけて手に取らないはずがない。インターネットで冒頭部分の抜粋を読んだときには、これは、わたしの求めていたものの答えにつながるんじゃないか、と思い込むほどに面白かったのだ。

その冒頭部分というのが
セラピーにやってきた灰色の髪、黄色い歯、分厚いメガネに太った体の女性。この女性はセラピストに「母がわたしの外見を気に入らないというのです。だからセラピーに行けって」「それでもわたしは自分が魅力的じゃないなんて、ちっとも思ってないんです」と言い…といった具合。

おもしろそうでしょう?この醜い女性がなにを抱えてるのか、そして彼女のポジティブさはどこからくるのか、気になるでしょう?いったいこの女性なんなの!って。

そこからストーリーは急展開を迎えて実はこの女性は(ごにょごにょごにょごにょ)であって、(ごにょごにょごにょごにょ)のために(ごにょごにょごにょごにょ)しているということがわかり、またその友人たちを巻き込んで殺人事件が起こったりして、というなんだか安直な方向に話が向かっていって、わたしは自分の自分勝手な思い込みによって、がっかりしたわけである。(ごにょごにょごにょごにょ部分がけっこうおもしろポイントなため読みたくなった方々のために伏せます)

話も軽いトーンですすむChic-Litのようなかんじ(小説家、陶芸家、衣装デザイナー、ピアニストの仲良しアーティスト5人組が登場して、彼や彼女らの恋模様そして殺人事件、といった内容)で、これは英語が苦手でもそのキャッチーな設定とロマコメのような展開で、楽しめないといえば嘘になるかもしれない。すごいスピードで読んでしまったわたしもいて。(なのでオススメじゃないわけじゃない)

わたしが引っかかるのは、やはり主人公のバーブの行動自体が彼女の批判しようとする外見の美至上主義を裏打ちする行為そのままであるように思えること。自身の美の基準を第三者の判断に任せているという点からしても、また"Beautify"のくだりにしても、どうしても登場人物たちが覆したいはずの外見の美という基準に本書自体が囚われてしまっていて、その基準を否定するやりかたも、ひどく小手先だけのものに思える。わたしが冒頭で期待したいものとは正反対のものだった。展開も安直と言えるばかりで、むむむー…

(これならわたしはSheila Hetiの"How should a person be?“のほうが好きだなーなんて思って裏表紙をみたらSheila Hetiが推薦文を寄せてた。うむ。)