#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

#17 Elizabeth is Missing - Emma Harley

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「手がかりを覚えていられないのに、どうやって謎を解く?」という表紙のキャッチコピーがとても印象的な一冊。2014年のCosta Book Awardsの受賞作。Observer誌は"Maggie O'Farrell meets Gone Girl"と評しています。

すごく面白かった。主人公のモードはある日友人のエリザベスがいなくなったことに気づくのですが、探そうにもモード自身に痴呆症のような症状があるので、記憶が混乱しているし、新しいことも覚えられないのです。(そうこれが表紙のキャッチコピーの意味するところ)

読み進めるうちに、果たしてほんとうにエリザベスはいるのか、ほんとうに失踪してしまったのか、モードが信頼できる語り手なのか(少なくともエリザベスの件については)どんどんとわたしたちもモードの錯綜する思い出と記憶に飲み込まれていくようですごくスリリングでした。

そしてエリザベスの失踪と並行してモードが思い出すのは大好きな姉、スーキーの失踪事件のことなのですが、スーキー失踪事件のことが語り進められるにつれて、どんどん記憶が混乱し、いろんなことを忘れていくモードのもどかしい気持ち理解できるし、モードの家族の気持ちも痛いほどわかる、果たしてわたしの身近な人がモードのようになってしまったら、わたしはどこまで寛容になれるんだろうとも考えてしまいます。

エリザベスとスーキー、2人の女性の失踪がこの作品の謎になっています。しかし"Missing"ー消えていくのはモードの記憶でもあり、そしてこの物語は彼女自身が自分を失っていく話でもあります。(人間、記憶や認識なしでは何者たり得ないという悲しい現実…)
前回ブッククラブで取り上げた"Find Me"も記憶と語りについての話と読み取れましたが、記憶/語り/わたしという点では"Elizabeth is Missing"のほうが格段におもしろかったです。

これはことしの"Burial Rites"案件かもしれません。(早く邦訳でてほしいし、みんなに読んでもらいたいくらい面白かったということです!)

サウンドトラックはOlafur Arnalds “Found Songs"です。
Olafur Arnaldsの曲たちはとてもミニマムで読書にはうってつけですが、とりわけこのCDに収録されているのは素朴でシンプルな曲たちで、それがまたすごくよいのです。
(あと本のタイトルに"Missing"とあったのでせめてサウンドトラックだけでも「見つかった」曲たちのCDにしたかった…)