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#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

#15 Find Me - Laura Van Den Berg

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皮膚に銀色のうろこのようなものが現れると、だんだんと体の機能が麻痺していき、それと同時にわたしは誰で、家はどこで、あなたは誰か、というすべての記憶を失って、死に至る伝染病が流行した近未来のお話。

すごく不思議な小説だった。この小説はディストピア小説でもあって、母を探す孤児の物語でもあって、ロード・トリップのお話でもあって、だからといってそうであると言い切ることは難しいような、そんなお話でした。ディストピア、ロード・トリップ、というと壮大なイメージですが、この物語はとてつもなく個人的なものなのです。

この本は2部構成になっていて、第一部ではこの病気に対して特別な抗体をもつとされるジョイは病院にとじこめられています。第二部でそこから出て行ったジョイはまたも病気に対する治療法を研究する男と天使の羽を背負った女の家にしばらく滞在することになるのですが、この物語のなかではこの「ひとつの場所に留まる」こと、そして「そこから動かない」ことが多いのもまた特徴的なのです。しかし物理的にはひとつの場所にいても、ジョイの心は過去をさまよい続けます。そういう意味ではこれは記憶についてのお話かもしれません。 いま姿を消したとしても、だれの記憶にも残らず、だれからも探されることのないわたし、というジョイの不安がとても色濃くて、そのジョイの気持ちは読んでいるわたしたちをもひどく不安にさせます。

ジョイは過去に囚われていて、彼女がひとつの場所にとどまることはまるで過去に囚われていることの象徴のようにも思えます。もしかしたらLaura Van Den Bergは過去につきまとわれ、人生に迷子になったわたしたちの話を描いているのかもしれない。

だけど結局わたしはまだこの物語を消化しきれていない。ぜんぜん噛み砕けていない。(早く誰か読んで見解をわたしに教えて…)

Laura van den bergは短編集”The Isle of youth”(NYLON BOOK CLUBの課題図書にも選出されていました)も出していて、こちらもおすすめです!

サウンドトラックはアイスランドの女性シンガーSoleyの”We sink”です。
素朴ながらもどこか不安な気持ちにさせるようなSoleyの声と音楽がこの小説の落ち着き場所のない不安や読み進めるほどに増していくざわざわした気持ちにぴったりです。
4月に来日予定とのこと!楽しみです。