#わたしだけのブッククラブ

written by Nao (twitter: smkebks)

Roxane Gay "An Untamed State"

誘拐がビジネスとして成立する国、ハイチ。そこで生まれ育ち、いまはアメリカに住むMireilleはアメリカ人の夫と子供とともにハイチに帰省する。ある日のこと、家族3人でビーチに行くために実家の門を出た瞬間に、ヴァンに四方を囲まれ、中から出てきた男たち…

パークアヴェニューの妻たち』ウェンズデー・マーティン

ニューヨークのアッパーイーストサイドと聞くとなにを思い浮かべるだろう。わたしが思い浮かべるのはたくさんの、キラキラした映画だ。たとえば、『ティファニーで朝食を』『SEX AND THE CITY』『GOSSIP GIRL』など。なんというか「キラキラした女の子の憧れ…

セレブリティとフェミニズムとわたし

わたしはふだん雑誌をまったくと言うほど読まない。けれど、今年に入ってから10代のころに買っていた雑誌がフェミニズムの特集を組んでいたのを知って、ELLEジャポンとGOSSIPSのバックナンバー(*1)を取り寄せた。 たとえばELLE UKは毎年"Feminism issue"と題…

おしらせ

Sister Magazineというウェブマガジンで #わたしたちのブッククラブ という連載をはじめました。 第1回目はロクサーヌ・ゲイ 『バッド・フェミニスト』について書いています。 もちろんこちらのブログも続けていきますが、Sister Magazineではもっといろんな…

翻訳: Roxane Gay "Anything More Than My Body"

ロクサーヌ・ゲイが自身のタンブラーに綴った素晴らしいショート・エッセイを翻訳しました。 原文はこちらから Roxane Gay is Spelled With One "N" — Anything More Than My Body わたしのからだ以上のなにかに - ロクサーヌ・ゲイ “Hunger"の仕上げに入っ…

Sarah Hepola “Blackout: Remembering the things I drunk to forget”

全国酒クズ連盟のみんなー!聞いてるかーい!アリーナのみんなー!酒は好きかー!スタンドのみんなー!飲んでるかー!今日も記憶!飛ばしてこー! いま、これを読んでいるあなたの「オゥイエーイ!」というレスポンスが、わたしのもとに届いていますよ。あり…

「わたしたちが自分自身を愛せる日はくるのか?」 ー"The Skinny"短観と、Jessie Kahnweilerのエッセイの翻訳ー

Refinery29のウェブシリーズ"The Skinny"の監督であるJessie Kahnweilerが、自分と摂食障害について、そして"The Skinny"について綴ったエッセイを翻訳した。 ことのいきさつを書いておこう。 “The Skinny"をみてから、どうも喉に小骨がつかえたようなかんじ…

「クリムゾン・ピーク」における女の子への目配せ

ギレルモ・デル・トロ監督の新作「クリムゾン・ピーク」は、上質で美しいゴシック様式にお化け屋敷に来たような、素晴らしいホラー映画だった。また、この映画には監督からの明確な「女の子への目配せ」があったように思う。 ここには「クリムゾン・ピーク」…

名前も知らないあなたのことを好きになった話

いつも注意深くなっているつもりだったけれど、この前わたしがなんの気なしに書いたことが、名もしらない誰かの癪にさわってしまったようだ。誰かもしらないけれど、ごめんなさい。わたしにはあなたの気持ちを害するつもりは全くありませんでした。 その人は…

わたしのブックリスト2015

2015年はじぶんのトレーニングのために洋書/和書を1冊ずつ交互に読むということをやっていたのだけど、これをはじめてから読書スピードが倍になった。洋書はそれでもスローペースなので読む本の冊数じたいは去年からそんなに変わってない。でも生まれてから…

How to be Rookie

ROOKIE YEAR BOOK ONEの日本語訳が先日出版された。そして、その翻訳のインターンに関わらせてもらった。これほど光栄なことがあるだろうか?あの!タヴィ!ゲヴィンソンの!ルーキー!イヤー!ブック!の!翻訳!インターン!だ!!(わたしの興奮を表現する…

"Americanah" Chimamanda Ngozi Adichie

小説を読み終わったあとに、世界が全く違って見えたり、世界への新しい目線を発見して震えてしまうことがあるけれど、Chimamanda Ngozi Adichie “Americanah"はまさにそういう小説だった。 読み終わった後は、狭く偏ったわたしの視野がスッと広がって、今ま…

Barbara the Slut and other stories - Lauren Holmes

すごく面白い短編小説集を読んでしまいました…!! あんなに嫌で嫌で仕方が無い会社も、行き帰りにこの本を読めるとおもうと苦痛じゃなくなるほど、夢中で読みました。 こちら"Barbara the Slut and Other People"は2014年にGrantaの"New Volce"にも選出されて…

Actors Anonymous - James Franco

ジェームズ・フランコといえばセス・ローゲンとイチャついているかと思えば、大学で教鞭をとっていたり、小説を出したりして(先日、日本でも公開された映画「パロ・アルト」の原作は彼の同名短編小説集)マルチな才能でわたしの心を掴んで離さない俳優のひと…

映画「ゴーン・ガール」のエイミーがわたしのヒーローであるわけ

(念のため: ネタバレしております) 2014年の年末と年初、映画館に通いつめた。どうしてかというと、ディビット・フィンチャー監督の「ゴーン・ガール」の主人公であり、わたしのヒーロー、エイミーの勇姿を見るためにだ。 自分から気持ちが離れつつあり、浮…

#26 China Rich Girlfriend - Kevin Kwan

ついに!絢爛豪華な憧れのハイ・ソサエティ、ジェットセッターライフをわたしたちに教えてくれた"Crazy Rich Asians"が戻ってきたぞ!! ということで、早速買いました。"Crazy Rich Asians"の続編"China Rich Girlfriend"です。 今回もはじまりからドタバタ…

#25 誕生の物語としての マッドマックス 怒りのデスロード

マッドマックス 怒りのデスロードは、監督もインタビューで言及している通り、「登場人物たちが人間性を取り戻すための物語」である。ここでは、この映画の主題のひとつでもある、「誕生」「再生」のメタファーについて考察していく。 この「誕生」と「生ま…

#24 ホテル・ワールド - アリ・スミス

アリ・スミス 「ホテルワールド」古本屋さんで買ったこの本には、おそらくお友達に宛てた「お忙しいところ申し訳ないですが、どうぞ読んでやってくださいね」と書かれたメモが挟まっていた。このメモとともに、この本を贈られたそのひとは、果たしてこの本を…

#23 亡き王女のためのパヴァーヌ - パク・ミンギュ

わたしたちみんなのなかに「彼女」はいる。そう思った。この本を読んで、その「彼女」を心の奥底の、見えないように隠した小部屋から連れ出してあげなくてはいけないんだ、だいじょうぶだよ、そんなところにいなくても、辛かったね、と「彼女」の傷口に優し…

#22 紙の動物園 - ケン・リュウ

ケン・リュウの短編集「紙の動物園」には、物語を紡ぐこと、語り手となることへのケン・リュウの意志を強く感じた。その意志は、特にこの短編集の最後の一編「良い狩りを」によく現れていると思う。 化ける狐、キョンシーや、風水などのアミニズム的な信仰が…

#21 わたしのサマーミックステープ

つまりわたしにミックステープを作ってくれる人は大好きだし、誰かに宛ててミックステープを作るひとも大好きだ。たとえ彼の地アメリカではミックステープを作ることが黒歴史となっていようとも、わたしはミックステープにあふれる恥ずかしさも、ときには重…

#20 I'll be right there - Kyung-Sook Shin

わたしは孤独なはぐれものたちがそっと集まって、またバラバラになっていくような話が好きなのだけど、この話もまさにそのお話。すごく優しくて、すごく寂しいお話だったのですごく時間をかけて文章の端々まで心の隅々に湿らせるように読んでしまった。読み…

#19 カステラ - パク・ミンギュ

わたしたちは毎日何を考えて生きているだろう。 少なくともわたしはこうだ。 平日は毎日、行きたくもない会社に行く。ぎゅうぎゅうの電車にのって、あさ8:30に出社して、無為な話が繰り返される朝礼に出席し、いやな上司の横で、じぶんが悪いことでもないの…

#18 Unfortunate Importance of Beauty - Amanda Philippacchi

ほんとうに美というものは厄介である。それを持たざる者は美を羨み、追い求めるし、持つものはそれを疎ましく思う。それだけでも厄介であるのに、さらにその美という概念はとても流動的であるし、さらに人の美なんていう話になった日には内面か外面か、主観…

#17 Elizabeth is Missing - Emma Harley

「手がかりを覚えていられないのに、どうやって謎を解く?」という表紙のキャッチコピーがとても印象的な一冊。2014年のCosta Book Awardsの受賞作。Observer誌は"Maggie O'Farrell meets Gone Girl"と評しています。 すごく面白かった。主人公のモードはあ…

#16 友達が送ってくれたスーパークールなZineについて

香川に住む友人のMenmanくんが彼の地元のグラフィティ・アーティストGarry(ゲイリー)さんの作品をまとめたZineを送ってくれました! わたしには目にするたびに胸がきゅんとするような、憧れに似た気持ちを抱く単語があります。“Homie”この単語はヒップホッ…

#15 Find Me - Laura Van Den Berg

皮膚に銀色のうろこのようなものが現れると、だんだんと体の機能が麻痺していき、それと同時にわたしは誰で、家はどこで、あなたは誰か、というすべての記憶を失って、死に至る伝染病が流行した近未来のお話。 すごく不思議な小説だった。この小説はディスト…

#14 My Struggle Book 1 - Karl Ove Knausgaard

この"My struggle"シリーズはノルウェーでは国民の9人に1人が読んだという、ノルウェー人作家の3600ページに及ぶ自伝的小説です(BOOK1は今年邦訳がでるそうです) かなり赤裸々に自分の家族や周りのひとびとのことをつづったため、なんだかモメている…

#13 菜食主義者 - ハン・ガン

すごいものを読んでしまった。 韓国の映画には、わたしの心のどこかにずっと存在している、奥底にある気持ちを震わせるものがある。韓国映画を見るたびに、ああこの感覚、この感情、と思うのだがわたしはそれを的確に表す言葉を持っていない。 ハン・ガンの…

#12 The First Bad Man- Miranda July

ミランダ・ジュライの初長編小説。すごく良い小説だった。(すぐに邦訳がでるし、みんな読むと思うのでネタバレしないようにしないと…) わたしたちはみなひとりぼっちで、それをどこかでわかっているからこそ、誰かとのロマンティックで運命的な結びつきを求…